調和振動子の波動関数を省略なく導く

シュレーディンガー方程式を解き、調和振動子の波動関数をエルミート多項式で表す

調和振動子とエルミート多項式

 エルミート多項式と私たちの迷走

 

 調和振動子波動関数がエルミート多項式を使って表現されることは、どの本でもかなり詳しく書かれている。シュレーディンガー方程式が正確に解かれる数少ない典型例であり、多くの物理現象に応用されるためである。この項目をアップしたのは、『趣味で量子力学』(広江克彦著、理工図書)をテキストにして調和振動子を勉強しているとき、私たちに混乱があったからだ。この本での調和振動子の項では、ほぼ量子力学入門』(阿部龍蔵著、岩波テキストシリーズ)の記述に沿った説明がされていく。最初はべき級数展開される形でこの多項式を述べ、次に一般的なエルミート多項式の定義を与え、この関数がエルミートの微分方程式を満たすことは「代入してみれば簡単に確認できるだろう。問題ないようだ。」(『趣味で量子力学』p.93)と続く。

 

 ところが、私たちは「代入して」も分からなかった。そこで、この部分は、量子力学入門』(阿部龍蔵著)シッフ『量子力学(上)』(吉岡書店)のように、母関数を使って何とか理解した。

 それから長い時間を経て、ある時『数学概論』(寺澤寛一著、岩波書店を見て、この簡単な解決方法が書かれていることにようやく気づいた。『趣味で量子力学』の著者の広江さんの頭の中には、このことが最初からあったのではないか、と考えるに至った。私たちのそんな紆余曲折、迷走ぶりを参考にする人もいるかもしれないと考えて、この部分を記した。多くの本に書かれていることを並べただけだが、私たちの迷走ぶりを脇から見て、参考にされる方がいましたら、研究会として嬉しく思います。

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